一九九〇年代の終わり頃、新聞に「ひとり客ってなぜ旅館に嫌われるの?」という見出しの記事が載った。その記事は、温泉地などの日本旅館は「おひとりさまお断り」のところが圧倒的だと報じている。旅行会社の窓口には「女ひとり旅の宿」と謳ったパンフレットも並び始めていたが、全体から見ればその数も少なく、大半が繁忙期を除くなどの条件付きで、料金も割高なことが多いというのだ。では、ひとり客はなぜ嫌われてきたのか。その記事によると、旅館は部屋が広く、複数人数を受け入れることで経営が成り立っているので、利用者がひとりだと経営効率が下がること、また女性ひとり客の場合だと、経験上だろうか、自殺でもするのではないかという恐れがあり、安心してひとり客を受け入れられないのだそうだ。
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一方、その記事によると、九三年に月刊誌『旅』が初めてひとり旅特集を組んだら五〇万部が完売、それ以来、毎年ひとり旅特集を組み、好評だという。旅館のひとり利用の需要は増えるだろうというのが、この記事の結論だった。