箸を入れたらこぼれそうなラーメンだった

2011.12.17

湯切りした麺を鉢に入れはじめたが、この量が半端じゃない。鍋から幾ら掬っても麺は後から後から出てくる。山頭火風に言うなら「掬っても掬っても麺の山」。普通なら二玉分は軽くありそうだが、鉢はそれほど大きなものではないから、既に溢れそうになっている。さて、具はどうするのだろう、と訝ると、おもむろに主人は鉢を両手に持ち、僕の前にそろりと置いた。そして目の前で、具をのせはじめたのだ。モヤシ、ネギを山盛りにして、メンマをその上に注意深くのせた。

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この時点で既に鉢から一〇センチ近く盛り上がっている。だが驚くのはまだ早い。極めつけはチャーシューだ。一センチはあるだろう、分厚く切ったチャーシューを、一枚、また一枚貼り付けるように載せていき、主人はその都度、スープが溢れていないか、鉢のフチを見る。まるでゲームを見るようだった。都合八枚のチャーシューをのせ終え、主人はホッとしたように、レングを添え、「どうぞ」とだけ言って、手を洗いにいった。なるほど、大盛りもチャーシューメンも無いわけだ。ここにきて、ようやくその事に気付いた。更に言えば、このボリュームなら七五〇円と言われても仕方がないと言えば、言えなくもない。ひょっとしてこれは、「どっきりカメラ」ではないだろうか、と周りを見渡したが、隠しカメラが潜んでいる気配も無く、プラカードを持ったタレントが出て来る様子もなかった。やはりこれは、普通のラーメン屋なのだ。たしかにスープは溢れていないが、一体全体これをどうやって食べればいいのか、箸を入れたら間違いなくスープはこぼれるだろうと、僕は途方に暮れた。だが、目の前に置かれているラーメンは僕が食べる為に作られたものだ、というのは厳然たる事実。とにかくはこれを食べねばならない。再度覚悟を決め、箸を取った。ここから先は書きたくない、というより思い出したくも無いのだが、ここまで書いておいて、それは許されないであろう。止むを得ない。続きを書く。